おまえのことばに

であいのことばを初めておぼえて
青空の下でさよならをいったおまえは
ゆうがおの花になれない
わかれのことばをおぼえて初めて
ふりそそぐ月の光をあびるおまえは
野放しのけものになれない
見知らぬ空と夜のあわいに
おまえの影がゆれるゆれる

愛のことばをいつしか忘れて
夜明けの稲妻に仮面をかばうおまえは
よるべなき森に逃げ込む
こわした夢の中でとまどう
おまえの影がしろくしろく

ひろったことばを使ってみたとて
砂風のはこぶささやきが聞けぬおまえは
はてしない地平におびえる
たしかな昨日へ迷路をたどる
おまえの影がかすれかすれ

おまえのことばに耳をかすのは
とまった時間としかばねのほほえみだけ
まぼろしの闇にときめく
まぼろしの闇にときめく
まぼろしの闇にときめく